櫻井よしこ論
ジャーナリストの堕落

2004.11.28
ノムラカツヨシ
(追加1) 2004.12.01
(追加2) 2004.12.08

(1)小泉訪朝
(2)小泉再訪朝
(3)小泉再訪朝を評価する

(4)櫻井よしこ論
(5)北朝鮮への経済制裁
(6)敵の意図は、敵しか知らない
   (附録1) 2004.12.25「産経抄」について
   (附録2) 平成17年小泉総理年頭記者会見より

1.「週刊朝日」における発言

週刊朝日2004年12月3日号に櫻井よしこ氏の発言が載っています。タイトルは、
『小泉さん 名誉欲を捨てて、めぐみさんたちを 取り戻しなさい!』
小泉さんに名誉欲があり、それを捨てれば(拉致被害者)横田めぐみさんたちを取り戻せる、ということになるようです。その論の杜撰・不誠実にあきれ、彼女の発言を検証することにします。
私の考えるジャーナリストの「誠実」とは、まず、発言の根拠が正確であることです。

本論に入る前に私のこれまでの櫻井さんに対する印象を書きましょう。勿論、顔も名前も知っていました。しかしテレビ・キャスター時代も、彼女の番組をよく見た訳でありません。薬害エイズ問題では、私自身ひどい事件だと思うので、被害者側で活動する彼女を好ましく思っていました。といって、彼女の発言を詳細に見ていた訳ではありません。

最初に違和感を持ったのは、「住基ネット」に対する激しい反対発言でした。私は住基ネットを必用・有効なものと思っていますので、これは完全に彼女と意見は違いました。しかしそれは「意見の違い」で、彼女を(私の基準からすれば)愚かとおもっただけで、私が間違っているかも知れず、だから変だとは思いませんでした。(この件については後で記します。)

彼女をイヤになったのは北朝鮮拉致被害者の集会(「家族会」「救う会」主催、2004.4.30日比谷野外音楽堂)における司会にあります。勿論、被害者たちがそれをよしとし櫻井さんを起用しているのですからとやかくは言いませんが、私には「合い」ません。私なりの「救う会・家族会」への支援は続けますが、二度と集会へ行こうとは思いません。

櫻井さんのは「司会」でなく「アジ演説」です。外務省、小泉総理をこきおろし、会場に「そうじゃありませんか?」「皆さん、どう思いますか?」とあおる。 会衆は「そうだ!」と叫ぶ。私はそのような雰囲気の会合をキライなのです。「司会」というのは自分が演説するのでなく、淡々とした進行役であるべきでしょう。私は彼女の小泉さん・外務省への評価は、不公正なものであると思います。この件についてもあとで検討するとして、彼女の「 週刊朝日」発言を検討してみます。

人の発言を批判するときに言葉の一部を対象とするのはフェアでないでしょう。著作権の問題がどうなるのか分かりませんがそう長いものでもありませんので、櫻井氏発言のほぼ全体を引用します。

『なぜ経済制裁を実行しないのか。理由は推測するしかありませんが、私は小泉首相の「名誉欲」が問題なのだろうと考えています。2回目の日朝首脳会談のあと、小泉首相は「任期中に国交正常化を」と述べました(*1)。自分の名前を歴史に残したいという思いがあるのでしょう。実務者協議の結果を見た後でも、なお「北朝鮮の努力のあとはうかがえる」(*2)と言っていますから。
政府は国交正常化交渉に入っても、最初に取り上げるのは拉致問題であると強調していますが、
(*3)今のままでは同じ主張が繰り返されるだけです。それでも正常化交渉に固執するなら、国民の怒りは高まり、小泉政権が危機を迎える公算が大きいと思います。
国民の気持ちを考えるうえで、横田めぐみさんのものと北朝鮮が言う「お骨」の鑑定結果は重要です。もし、めぐみさんのものとされれば大変な同情を巻き起こすでしょう。全く他人のものとなれば怒りが爆発するでしょうし、荼毘に付しているから鑑定が不可能となれば、ごまかしであるとの怒りになりますね。』

櫻井さんは、北朝鮮との国交正常化が「自分の名前を歴史に残す名誉」であると考えているようです。そんな風に思う日本国民は少ないと思いますが。
極限の悪ともいえる金正日の北朝鮮、ボロボロの国と国交正常化することが「名誉」であるなどと、国民の多くは評価しないでしょう。小泉さんも評価されるとは思っていないでしょう。櫻井さんの幻想と思いますが、櫻井さんが「北朝鮮との国交正常化を歴史に名を残す名誉」と考えるのは自由です。(そう考えるからこその小泉総理への非難でしょう)

(*1) 2回目の日朝首脳会談のあと、小泉首相は「任期中に国交正常化を」と述べました。

小泉さんはどこでそのように述べていますか?
“【首相官邸】日朝首脳会談後の記者会見(平成16年5月22日)”によれば、「小泉総理冒頭発言」で、

>>「私が今回2度目の訪朝をした最大の理由は、両国にとって日朝平壌宣言、2年近く前、9月17日、共同宣言を発出いたしましたけれども、この日朝平壌宣言を誠実に履行することが極めて重要である、このことを金正日国防委員長と再確認するため、それが最大の理由です」<<

と延べ、

>>「今回の私の訪朝が、日朝国交正常化実現への転機となることを、これからも強く期待していきたいと思っております。以上でございます」<<

と締めくくっています。
「正常化交渉なんですが、正常化妥結の時期についての目途はお持ちでしょうか」という【質問】に対して、
【小泉総理】

>>「まだ国交正常化妥結の時期については明言は出来ませんが、正常化への努力は続けていかなければならない。そして今回、日朝平壌宣言の重要性を再認識したこと、お互いの信頼を醸成出来るような環境を整えていくことに同意をみたこと、そういう点、全体的に見て、私の今回2度目の訪朝は意義あるものだったと私は思っております」<<

念のため読売新聞2004.05.23で拾うと、
(質問)大きな政治的な決断に見合う成果を得たか。日朝国交正常化交渉の妥結時期のめどは。

首相 >>まだ、国交正常化妥結の時期については明言は出来ないが、正常化への努力は続けていかなければならない。そして、今回、日朝平壌宣言の重要性を再認識したと、お互いの信頼を醸成出来るような環境を整えていくことに合意をみたこと、そういう点を全体的にみて、今回の訪朝は意義あるものだった。<<

櫻井さん、小泉総理はどこで「任期中に国交正常化を」と述べていますか?
この前もこの後も、小泉総理がそのような発言をしたのは聞いたことがない。櫻井さんがどこで聞いたのか、ジャーナリストなら出典を教えて下さい。例えば、第一回日朝首脳会談2002.09.17のあと記者会見で小泉総理は、

>>「第1に、日本は正常化交渉に真剣に取り組む用意があると。しかし、正常化を進めるためには、拉致問題を始め安全保障上の問題など諸懸案に、北朝鮮側が誠意を持って取り組むことが必要である」<<

と述べています。又、

>>「今回、金正日委員長は関連するすべての国際的合意を遵守することを明確にしました。重要なことは、北朝鮮がこの約束を行動に移すことであります」<<

2003.06.07の日韓首脳会談後記者会見では、
【小泉総理】
>> 拉致の問題、核の問題、これを包括的に解決することによって、日朝国交正常化はある。正常化の後に、日本としては北朝鮮に対して経済協力等を考える。<<

2004.07.21の日韓首脳会談後記者会見では、
【小泉総理】
>>質問に答える前に、日朝国交正常化について、一昨年の金正日氏との間の日朝平壌宣言を誠実に履行されるのであれば、正常化するという立場であることを明らかにしておきたい。拉致問題、核問題、ミサイル問題を総合的、包括的に解決された際に、正常化がなされるということである。
私の任期はあと2年ほどであるが、その間に、日朝平壌宣言が誠実に履行されれば、正常化がなされる。これが誠実に履行されれば2年にこだわらない。1年もあり得る。私は期間にはこだわらない。誠実な履行がなければ1年経っても2年経っても、3年経ってもない。望ましいことは、できるだけ早く日朝平壌宣言を誠実に履行することである。時期にはこだわらない。
<<

これらの発言のどこからも「任期中に国交正常化を」などと発言していないことは、日本語を素直に理解できる人なら分かるはずであります。「時期にはこだわらない」と言っているのです。そして実は、小泉総理が「国交正常化」の前提条件としているものは、北朝鮮・金正日が、絶対に呑めぬものです。なぜなら、呑めば金正日体制が崩壊するからです。小泉さんには金正日政権との間で「国交正常化」をする気がない、と理解するのが正しいと思います。事実、絶対にないでしょう。小泉さんが突きつけているのは、金正日の呑めない前提条件です。

*2) 「北朝鮮の努力のあとはうかがえる」と言っていますから。

これは私のオリジナルな意見ではありませんが成程と同感したので流用します(流用元「小泉総理は運が強すぎる」)。それは言葉として、「努力のあとはうかがえる」と言うのは、ほめ言葉か、ということです。何かの作業の評価として、「努力のあとはうかがえる」と自分が言われた場面を考えればいいでしょう。これによらず小泉さんの発言は常に仕掛けがあるのです。先入観、好悪の感情から入ると、理解できないだけでなく後で恥をかくことになります。

(*3) 政府は国交正常化交渉に入っても、最初に取り上げるのは拉致問題であると強調していますが、

前述の通り小泉総理は一貫して、「拉致問題、核問題、ミサイル問題を総合的、包括的に解決された際に、正常化がなされるということである」と語っています。最近の岡田民主党党首との「党首討論」(2004.11.17)でも、何度も繰り返して説明しています。

櫻井さんの「週刊朝日」発言、次を検討します。

『制裁を発動したとき、中国からは「そこまでやらなくても」といった批判が出るかもしれません。中国の抱える背景は複雑です。現在の国際社会の構図は、イラク問題で手いっぱいの米国に対し、中国が北朝鮮をおさえて、いわば米国に「貸し」を作った形になっている。中国とすれば、日本の動きでその構図が崩れることは喜ばないでしょう。しかし経済制裁は日本が自国民を救うために行うのですから、大枠では攻撃できないと思います
むしろ注目するなら韓国でしょう。盧武鉉大統領は、北朝鮮寄りの姿勢を強めています。北朝鮮政策に影響がある法改正に積極的です。相当の反発を覚悟しておいたほうがいいかもしれません。』

引用しながらイヤになります。櫻井さんがどう思おうと勝手ですが、「しれません」「でしょう」「思います」で他国への経済制裁を発動せよというのですか。北朝鮮はそれを、「宣戦布告とみなす」と言っています。

『残念ながら北朝鮮は、対話が通用する相手ではありません。これまでの行動パターンからも、それは明らかです。1990年に北朝鮮からのアプローチによって「金丸訪朝団」が「3党共同宣言」を締結しましたが、あのときはソ連が支援をやめてしまったため、日本から支援を引き出そうとした。いわば旧ソ連の圧力に対応した構図です。今回の日朝首脳会談への流れは、米国の圧力で作られました。2002年1月にブッシュ大統領が一般教書演説で「悪の枢軸」と名指ししたため追い詰められたのです。
制裁発動で、北朝鮮の暴発を警戒する見方もあります。たしかにノドンやテポドンが飛んでこないという保証はどこにもありません。しかし金正日も、そんなことをすれば自分も破滅するとわかっているはずです。ブッシュ大統領は再選を果たした直後に、イラクのファルージャに総攻撃を始めました。あれを見て、地球上で最も恐怖に襲われたのはビンラディンではなく、金正日だと思います。米政権の強硬路線も、拉致被害者救出のためには「活用する」発想が日本政府に必用でしょう。』

日本の経済制裁を、どの程度の効果あるものと櫻井さんはイメージしているのでしょうか。上の言葉からすれば金正日が「身の破滅」を感じない範囲と思われます。なぜならテポドンを撃てば自分が破滅する、だから撃たないとは、経済制裁によっては金正日が破滅を感じないことになります。撃とうが撃つまいが同じ破滅なら、撃たないと想定する確率はうんと下がるからです。同じ破滅なら持っている武器を使いたくなるのが、むしろ自然です。だから櫻井さんの「制裁」は、金正日を破滅させるほどのものではないのでしょう。しかしそれは「制裁」と言えるものですか? ちょっと「意地悪」する程度のものではないですか?(私自身はそもそも効果のある経済制裁などできないと思いますが)

あとでふれますが不思議なのは櫻井さんが、北朝鮮への不正送金、マネーロンダリング等の監視、即ち実効的経済制裁に最も有効な(ほとんど必須と思える)「国民背番号制」「住基ネット」「個人情報保護法」に対する猛烈な反対者であることです。こうしたものの整備によって誰が、どのような種類の人が不利益を蒙るのか。金正日は明らかに不便を感じると思います。→例えば、

『金正日体制が倒れ、拉致被害者が帰国し、抑圧された北朝鮮の人たちも解放されるというのが最も望まれることです。制裁発動で重要なのは、心理的効果が大きいことです。漫画の世界のような話ですが、金正日や高官に高級食材を供給しているという万景峰号を入港させないというだけでも、それは期待できます。向こうに親戚のある在日の方の気持ちもわかりますが、資金や物資が流れる仕組みを断つという意味から、一定の規制は理解していただきたい。』

「残念ながら北朝鮮は、対話が通用する相手ではありません」、その相手に「心理的効果」を期待できるのでしょうか。私は期待できないと思いますが、櫻井さんは期待できるようです。私は金正日を、そんなヤワな男と思いません。

『そうした対応を確立できれば、影響を受ける北朝鮮幹部に、何らかの動きが出る可能性があります。黄長Y元朝鮮労働党書記が97年に亡命したのに加え、最近では呉克烈作戦部長の長男が亡命したとの情報もありました。金正日の政権維持能力はそれだけ落ちているということでしょう。
また北朝鮮研究者の方に伺うと、最近の北朝鮮の映画にも、体制への反発傾向がうかがえるそうです。民衆の苦しみを非常に丁寧に描く作品が増えている。
もちろん映画の中ではその苦しみは「米国帝国主義」や「日本帝国主義」によってもたらされているのですが、実際に見る人は現体制に民衆が苦しめられていることの表現だと伝わるのだそうです。この傾向が強まれば、体制変革はありえます。
ある拉致被害者のご家族は、北朝鮮を「悪魔の国」と呼びました。私自身がそうした表現を使うのは慎むべきかもしれませんが、ご家族がそう言いたくなる気持ちは、よく理解できます。』

このような「可能性」「思います」「だそうです」「ありえます」「期待できます」「はずです」で、小泉総理・外務省をボロクソにいい、高価な(でしょう)発言料を得るのだから、ジャーナリストとはうらやましい仕事です。

2.住基ネットになぜ反対するのか

櫻井さんが住基ネットに反対するのは「個人情報の漏洩」(ストーカー国家)への危惧のようですが、それをいうなら、「情報の漏洩は如何なる手段を持ってしてもゼロにできない」と私は思います。その上でなおメリットがあるか、マイナスが大きいかの検討でしょう。私は圧倒的にメリットが大きいと思います。
その前に、住基ネットに登録される情報(1.氏名 2.住所 3.生年月日 4.性別)の漏洩は住基ネットを実施しなければ防げるものか、ということです。この「四情報」はもともと法律によって誰でも閲覧できる公開情報であります。その前提の上で私たちは日常、どのような相手に自分の情報を提供し ているでしょうか。それによって相手は何を捕捉しているでしょうか。

1. 銀行:口座開設時に出す個人情報。送金額及び相手。入金額及び相手。
2. クレジット・カード:開設時に出す個人情報。決済相手。決済額。嗜好。決済場所による行動の捕捉。
3.医療機関:ほとんどあらゆる個人情報。
4. ケータイ:開設時に出す個人情報。“現在の”居場所。発信相手。発信時刻。発信場所。ひょっとすれば会話内容。受信についても同じ。(これらの詳細は犯罪捜査に使われることでも明らかである)。
5. SUICA等:行動の捕捉。
6. ホームセキュリティ:住宅構造情報、在・不在。行動パターン。
7. 電力、ガス:在・不在。行動パターン。生活レベル。
8. 宅配便:誰から、何時、ものが送られたか。(誰へ送ったか)
9.運転免許証

医療情報を入れたICカードもあるでしょう。あれば緊急時の対応が早く正確になるでしょうが、多くの 個人情報がそこに入っています。その情報によって救われる命があるでしょう。その他、きりがありません。住基ネットを入れようと入れまいと、私たちはすでに「丸裸」なのです。 狙う側は、住基ネット情報程度はとっくに入手済みに違いありません。

私たちは、「セキュリティーとプライバシーは相反する」ということを、きっちりと認識しなければなりません。飛行機搭乗に際して私たちは所持品すべての点検を受け入れます。指紋や瞳孔情報の採取も、こらから一般的になっていくでしょう。銀行カードは不正使用防止のため掌紋参照のものが出ました。これから一般的になるでしょう。子供や老人にために居場所を発信させる携帯端末が売られています。これは明らかに「監視装置」です。日常動静の変化を知るため、発信器つきの給湯器などというものも販売されています。給湯が途絶えたら、異変ではないかと遠隔地で知るのです。私たちはプライバシーを知らしめることによって、セキュリティーを得ているのです。私は指紋押捺を全国民・住民(日本在住外国人も)必須にすべきと思います。

櫻井さんも力を入れている「北朝鮮による拉致」事件についていえば、「辛光洙事件」のようなものは避けられたのです。原敕晁(はらただあき)さんという何の罪もない日本人が忽然と消え、辛光洙が原さんに成り代わって日韓を行き来、工作活動を続けました。大韓航空機爆破事件も違ったものになったでしょう。櫻井さんが守ろうとしている利益は、あるいは恐れる損失は、主にどのような種類の人々に大きいのか、考察する必用があります。少なくとも私は、四情報を知られて何の痛痒も感じません。

3.違うジャンルのものを比較し、他を一方的に貶めること

産経新聞2004.11.04付、「ゴーンさんのリーダーシップ探検」というシンポ記事に櫻井さんの言葉が載っています。以下、引用です。

『日本には非常に優秀な人材がそろっています。しかし、その人材が機能していないのです。まるでかつての日産と同じです。では、日産がよみがえったのはなぜか。それは新しいリーダーのもと、目指すべきものが明らかになったことが大きいのです。
これだけ人材や富、文明を築いてきた日本でなぜ、簡単な金融問題が解けないのか。なぜ安保問題で立ち行かなくなっているのか。これらは心の持ち方ひとつで明日にでも大きく転換できるのです。その大転換を遂げるためのリーダーシップとは、個人であれば、自分は何者なのか、何を目指しているかを認識すべきです。企業であれば、その企業が何のために生まれ、仕事をしているのかを明確にすることです。
そしてリーダーは誰よりも責任を取ることに喜びを見いださないといけないのです。今の日本は、リーダーが責任を取らないことに問題があります。
「利己」ではなく「利他」の心を身につけることもリーダーになる力です。わが国の政治家は小泉純一郎首相をはじめとして何と貧しいことでしょうか。』

櫻井さんは小泉総理がお嫌いのようですから、それはそれでいいのです。しかしなぜこの文脈の中で突然小泉総理が出るのでしょうか。ゴーンさんに比較して「貧しい」と。
企業経営と国家経営はまったくジャンルの違うものです。ゴーンさんは、基本的に株主に対して責任を取ればいいんです。端的には実質経営権を持つルノーに対して責任を取ればいい。目的は、つきつめればルノーの利益です。その為に与えられた権力です。だから社員の首も斬った、工場も閉鎖した、下請けも整理した、「目指すべきものが明らかになった」のは当たり前です。
小泉さんが同じ事をできますか? それが国の総理の役目ですか? 小泉さんがそれをやって(法律的に出来るとして)幸せな日本が実現しますか? あれだけの警告を無視してイラクへ入った青年をも、政治家は、宰相は、見捨てることができない。違うものを比較することを「言いがかり」というのです。「難癖」といってもいいでしょう。そしてそれをやる評論家を、私は“低質”と判定するのです。櫻井さんだけじゃなくイッパイいますよ。政治家は国民を「リストラ」することは出来ない。ゴーンさんを誉めるのはいい。私も立派な経営者であると思うし、日本へ来てくれて良かったと思います。しかし小泉さんの役目とは質の違うものです。

4.「諸君」2004.12号の発言について

「諸君」2004.12号に、「許すまじ! 外務省の“拉致は二の次”」という討論記事があります。横田早紀江さん、救う会副会長の島田洋一氏、櫻井よしこさんです。一部を切り抜きます。

島田 「そのくせ、小泉首相はブラジルを訪問した時は、日系人の歓迎を受け、感涙にむせんだり、特攻隊員の遺書を見ては涙を流し靖国参拝をしたりはするんですが、所詮これらはパフォーマンスでしかない。出稼ぎ移民の方々からも特攻隊員の遺族からも特に難しいことを要求される心配もない。安心して泣いておればよい。ところが、横田さんたちを前にしてそんな態度を示し、へたに期待感を高めると現実の政治課題に関して、何らかの責任なり対応を取ることを余儀なくされますからね。それは嫌だから、現在進行形の北朝鮮に拉致された被害者に対しては決して感情移入はしない。距離を置こうとする姿勢が顕著です。家族があきらめてくれれば楽になるのにな、と思っているんでしょう。・・(中略)・・一方、金正日とは親しげに握手して恥じない。どこか感覚がおかしいですね。」

こんな「感覚のおかしい」人を副会長において、本当にいいんですか? 横田さん。
拉致被害者に小泉さんが優しい顔を見せ約束らしきものをしないのは、それをすることが金正日との交渉の弱味になるからです。何のみやげもなく手ぶらで帰ってもいいのだ、決裂してもいいのだ、という立場を小泉さんは保持しなければならないのです。金正日と斬り合っているんですよ。ブラジルで泣いたのは気楽だからでしょう。拉致被害者家族の前で涙を流して呉れたら、あなた方は嬉しいですか。信頼しますか。私が当事者ならガッカリします。あなた方に対し、「感情移入はしない」「距離を置こうとする」からこそ、小泉さんは信頼に値するのです。

櫻井さんの応答。「小泉さんは相当な変人ですからね。夫人が身ごもっている時に離婚してのち生まれた三男ともまだ一度も会っていなくても平気な人ですから、他人の子供の拉致にも感情移入することができないんでしょうか。」

こんなことに触れること自体が品のないことと思いますが、それはさておき、「妊娠したときに別れて三男と一度も会わない」ことがどうして「冷たい」という結論になるのか。多少とも人の心の襞・陰翳を知ったなら、そんな断定はできない。「妊娠したときに別れて三男と一度も会わない」ことが、激しい恋慕・未練の断ち切りなのかも知れない。分からない。そんなことは、分からないんです。ちゃんとしたジャーナリストの触れることではない、赤新聞の領域です。
→小泉総理の幼児についての言葉、2005.02.12TV東京

ジェンキンス氏がジャカルタ滞在中「参院選」の結果小泉が失脚するのではないかと思い、不安で酒をあおった、という情報がありました(ジェンキンス泥酔事件)。米軍事法廷のあと小泉総理を含めた日本側担当者への感謝の談話を出したそうです。妻はテレビで見たといいますが新聞では報じられません 。再放映もされません。どうしてですかね?

帰ってきた拉致被害者・その家族が、小泉さん、外務省担当者に感謝していないはずはないのです。しかし多くの残された日本人がいる以上、大っぴらに喜べないのも当然の心遣いでしょう。その辺りをメディアも櫻井さんも、完全に無視しています。小泉さんへの悪口を続けるのはいい。しかし国民はおそらく横田滋・早紀江ご夫妻の見事な姿に免じて、言いたい放題を許しているのです。 でも、あまり調子に乗ると白けるかも知れませんよ。

=終り=

追加1-2004.12.01
頂いた疑問に対するお答え

2004.12.01に匿名の方から上の小文に対する批判メールを頂きました。(匿名であること以外は礼儀正しい文章でした)。私はその方に、“メール、ありがとうございました。私は匿名の方と議論をしたいと思いませんので、もしも頂いた全文をアップすることを許されますなら、「エッセイ」の追加として検討文を付け加えさせて頂きます。” と返信したのですが、気分が落ち着きませんので、とりあえず要点のみ、私の見解を述べさせて頂きます。

>> 結論から申し上げますと、読んでいて違和感を覚えざるを得ませんでした。櫻井さんが推測で書かれていると同時に野村さんも推測でエッセイを書かれているにすぎない。であれば、同じお立場ということで目くじらを立てるに至らないことなのでは? 影響力を懸念されて、ということならまた別の話になります。<<

私が問題にしているのは櫻井さんが小泉さんの発言を「曲解」して伝えているのではないか、という点です。「推測」を問題にはしていません。(おそらく、推測皆無の文章などあり得ません)。

1.2回目の日朝首脳会談のあと、小泉首相は「任期中に国交正常化を」と述べました。
2.政府は国交正常化交渉に入っても、最初に取り上げるのは拉致問題であると強調していますが、

この櫻井さんの発言に対して、小泉さんや政府がそんなことを言ったと聞いたことがないですから、私は「言っていない」証拠資料を出した訳です。推測ではありません。公式の記録です。だから、
“櫻井さん、小泉総理はどこで「任期中に国交正常化を」と述べていますか?”
と問いかけたのです。(櫻井さんの目に拙文がふれるとは思いませんが)。推測とは正しい事実の上に組み立てられるものです。事実でないものの上に構築されたものはデマであります。

>>先日の実務者協議後にも、散々な結果であったにも関わらず「経済制裁はしない」と即座に発言されています。<<

小泉さんは正式の経済制裁は発動しないと思います。
みなさんの言っている「北朝鮮に経済制裁せよ」の目的は、第一に拉致されている被害者の救済です。しかし、制裁を加えれば帰りますか? 多くの人が生きていると 私は思いますが、制裁を加えた方が加えないより、生還の率は高いですか? (この件についても2004.11.17の“党首討論”で小泉さんはきわめて率直に、真摯に語っています。「衆議院TV」のサイト、ビデオライブラリー、平成16年11月17日「国家基本政策委員会合同審査会(党首討論)50分」をご覧になって下さい。 平成16年11月10日のものも併せて点検されるとよろしいでしょう。)

アメリカがキューバを「経済封鎖」して40数年、キューバは参りましたか? アメリカの懐の中、海上封鎖もできる島国のキューバでも生きながらえています。北朝鮮は日本の手の及ばぬ韓国、中国、ロシアに陸上で接しています。いざとなれば韓国は必ず北朝鮮の味方をします。中韓とも日本が失敗し、恥をかき、疲弊することを狙うでしょう。 (中韓が北朝鮮を助けず知らんぷりをする可能性も勿論あるでしょう。私はないと思いますが、あると考えることもそれ自体を間違いとは思いません。しかし「中韓が北朝鮮を助けず知らんぷり」することを前提の経済制裁は、明らかに間違いです。)
経済制裁については私の仲間たちと検討しています。私は北朝鮮が音を上げる前に、日本が音を上げると思います。国論が一致して長続きするなど、想像できませんね。 半年や一年の作業ではないですよ。

私は「経済制裁論者」から具体論が一向に出てこないのが不思議です。日本も大きな傷を負うこと、それに辛抱できるかということ、そこらの具体論がありません。
ただ、「経済制裁」を叫ぶことは、それ自体決してマイナスではないと思います。しかし酔わないことです。

>>リップサービス云々言われる方もいらっしゃいますが、結局首相がこのように朝鮮総連や北に対して阿る旨の発言をすることは、結果として北の拉致問題に対する姿勢に変化を与える事も出来ませんし、周辺諸国へも誤った日本の姿勢を伝えている事になります。日本の意思を明らかにせよという事です。<<

日本の意志は小泉総理の記者会見、国会答弁等できわめて明快であると思いますが、・・・・

>>首相の言うことは、日本にいる日本人なら分かる感覚かもしれません。しかし他の国では受け入れられない。
>>首相の発言に仕掛けがある、その裏を読む、日本人であればわかることでも、北や中国は分からないかもしれない。否わかるかもしれない。こんな曖昧なものでは駄目だと思うのです。<<

私が申し上げたかった小泉さんの言葉の仕掛けは、日本人が一番分かっていないのではないかと思うのです、あまりに素直すぎて。私は「逆説」で使いました。小泉さんの発言は、今までの政治家に比して本当に素直です。素直に受けとめないのが日本のジャーナリストです。ひょっとすると金正日が一番の理解者かも知れません。外国人にも分かりやすいと思います。(小泉さんの談話、国会議事等を、読んでみて下さい。)

>>私は野村さんが「小泉さんには金正日政権との間で「国交正常化」をする気がない、と理解するのが正しいと思います。事実、絶対にないでしょう」と何故断言できるのか理解できません。今の小泉首相を見て、どのような場面でそのような核心(確信?)に至ったのでしょうか? 結局推測にすぎませんよね、櫻井さんと同じ。<<

推測ですが、推測の根拠は記してあります。
“小泉総理が「国交正常化」の前提条件としているものは、北朝鮮・金正日が、絶対に呑めぬものです。なぜなら、呑めば金正日体制が崩壊するからです。小泉さんには金正日政権との間で「国交正常化」をする気がない、と理解するのが正しいと思います。事実、絶対にないでしょう。小泉さんが突きつけているのは、金正日の呑めない前提条件です。”
小泉さんの前提条件とは、
「拉致問題、核問題、ミサイル問題を総合的、包括的に解決された際に、正常化がなされるということである。 」
ということです。
1.拉致問題は解決しますか? 10人が終わっても、100人か200人、底なしですよ。
2.核問題、ミサイル問題。こんなものが小泉さんの任期中に解決しますか? 虎に、牙を抜け、といっているのです。
こんな前提条件を出すことによって小泉さんには「正常化の意志がない」と私は推測します。しかしそれを見破られないように、それなりの気を持たせる発言をしていると「推測」します。根拠は、不可能な前提条件です。

櫻井さんは小泉さんが、北朝鮮と、
“「任期中に国交正常化を」と述べました。”
とおっしゃるので、どこでそんなことを言ったか、出所を示して下さい、と申し上げているのです。推測だから批判しているのでなく、推測の根拠を示して下さいと言っているのです。
私は、「小泉さんは任期中に国交正常化をする気がない」と推測し、その根拠を示しました。

>>感想のみ書こうと思ったところ、思いの外言いたい放題のメールになってしまい、大変失礼致しました。御気分を損ねるものであったこと、予めお詫び申し上げます。
追伸、住基ネットには私も賛成です。何故櫻井氏は反対しているのか解せませんね。<<

とんでもないです。ちゃんとした文章による批判は、好きです。私自身、色んな見方・考え方を知りたいですから。

 

追加2-2004.12.08
ジェンキンス氏・佐渡到着後記者会見の挨拶より

小泉総理について次のように述べたとCNNは伝えています。

"Most importantly, I am thankful to Prime Minister Koizumi,"
Jenkins said. "As I said openly during my court-martial, Prime Minister Koizumi will always remain in the heart and prayers of me and my family."

「特に、小泉首相には恩義を感じています。」
とジェンキンス氏は述べた。
「軍法会議の場で明言したとおり、私や家族は常に小泉首相のことを心に留め、祈りをささげることでしょう。」

ところで、
=産経新聞=
「情熱と親身になって私を治療し、私の体と心を癒やしてくれた東京女子医大のスタッフ、小泉純一郎首相に感謝したい」
=中日新聞=
「・・・ジェンキンスさんは日本政府や米軍に謝意を表し、涙で声を詰まらせながら、・・・」
=朝日新聞=
「日本国民と政府が示してくれた優しさに感謝している」
=読売新聞=
「きょうは、私の人生の最終章の1日目。人生の残りを、妻と子どもたちと一緒にこの佐渡ですごしたい」。ジェンキンスさんは涙で言葉を詰まらせながら、「佐渡の美しさと静けさを幾度となく心の中に思い浮かべていました」「ともに生活した間、妻がしばしば語ってくれた思い出です。この島は妻が話してくれたように美しい」と北朝鮮での40年近い生活を振り返った。
=日本経済新聞=
ジェンキンスさんは涙ぐみながら英語で日本政府や国民への謝意を表すとともに「今日は私の人生の最終章の第一章。佐渡で人生の残りを過ごしたい」などと語った。
=毎日新聞=
「日本人と日本政府の支えなしでは、私と家族がここにいることはできなかった」

産経にわずかにその名が出る以外、Prime Minister Koizumi はすべての新聞が削っています。これが日本のマスコミです。一般の日本人は、小泉さんに対して感謝のひと言も云わぬ非礼な男と、ジェンキンス氏のことを思うでしょう。
ジェンキンス氏のこの言葉は、地村さんも蓮池さんも、同じ気持ちと想像します。

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(以降は「北朝鮮への経済制裁」へ重複しつつ継続します)

2004.12.08 17:30
今日は、北朝鮮から持って帰った遺骨が横田めぐみさんのものでなかったとの発表がありました。私は驚きません。めぐみさんの骨でないと思っていました。彼女は生きていると信じます。二人分というのが異常ですが、これには別なメッセージがあるのかも知れません。つまり、これはニセモノであるとあえて知らせる「意志」です。それがどこから来るものか分かりません。
金正日の意志でないと思います。
金正日が既に指揮権を失っているのかも知れません。ダッチロールに入っている可能性があります。

小泉さんには「日朝国交正常化」の積もりは最初からなかった、という私の結論は、上に記しました。結局、日本国内のみならず金正日も釣られたのです、正に毛バリで。櫻井よしこさんのように小泉総理が日朝国交正常化を急いでいるという観点からでは、小泉さんの言動が理解できません。その気がない、しかしその気がないと気付かせてはならない、それが小泉さんのやっていることです。彼は冒険を避け、慎重にねばり強く、一人でも多くの拉致被害者を救出しようとしているのです。その観点からみると、今回のニセ遺骨というふざけた事実をみて、小泉さんはどのように語るでしょうか。周辺では北朝鮮への経済制裁の声が沸騰するでしょう。
私はしかし、

1.きわめて「生ぬるい」と思える対応をする、と思います。
2.制裁をする方が、しないより、未帰還拉致被害者奪還の可能性が大きいとは思えないからです。
3.同時に、放っておいても間もなく金正日は息絶えると判断しているような気がします。(ヤマカンです)
4.ただ、法律、「改正外為法」「特定船舶入稿禁止法」「船舶油濁損害賠償保障法(2005.03施行)」に基づいた規制の強化、パチンコ店等北朝鮮系企業への税務締付はじわっと強めていくでしょう。

いずれにせよ「経済制裁」には入らず、小泉さんは強硬派から総攻撃を食う展開になるように思います。
 

追加3-2004.12.09

小泉総理の対応はほぼ私の予測通りでした。この件はあとにして、今回のめぐみさんニセ遺骨(松木さんのも併せて)については、北朝鮮の意図が私にはまったく分かりません。日本の鑑定能力については、前回の松木薫さんニセ遺骨で認識しているはずです。今回は明らかに「ニセ」であることが分かることを前提にやっています。念を入れるように二種類入れています。「ニセモノだよ」と告げているような仕業です。こっちにはサッパリ 訳が分からないが、やつらははっきりした「意図」を持っていると感じます。何でしょうね。????
 

追加4-2004.12.10
「経済制裁」への危惧

北朝鮮・金正日体制を攻撃することに、私は反対でありません。ぶっ倒してやりたいと思います。問題はいわゆる「経済制裁」が目的に対して有効な手段かということです。

1.経済制裁の目的→ 拉致被害者の奪回、ということでしょう。ならば、
「経済制裁によって拉致された人の救済の可能性が高まる」
という、その論理的根拠が語られなくてはなりません。私にはむしろ拉致された人への、加害の可能性を高めるものに思えます。

2.経済制裁にどのような方法があるか。→それは北朝鮮にどのような打撃を与えるか。その打撃のどの時点で北朝鮮は参るか。静かに参るか。反撃はないか。

3.反撃がないとするなら、その根拠。

4.反撃の可能性があるなら、→どのような反撃があり得るか。それにどのような対処をするか。

5.中国、韓国は、どのような立場をとるか。
  →予測できる「反日行動」。それに呼応するであろう国内日本人の反日分子。
  →シーレーン、わが国経済水域への中国の意図的チョッカイ。

6.何よりも国内世論が一致し続けるか。→私にはとても信じられません。
  いま声高に制裁を叫んでいる者ほど(家族を除いて)私は信じない。

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今回の北朝鮮のやりかたを、「日本人を騙そうとした」という観点で捉えると、まちがうと思います。奴等は「騙そう」などとしていない。騙すなら二人分四人分という骨の入れ方が理解できない。明らかに「ニセモノだよ」と告げているのです。 「挑発」なのです。日本に、経済制裁をやるならやれ、と煽っているのです。つまり彼らにはそれに対応できる裏付けがあるのです。中・韓のバックアップのみならず、日本の闇ルートもあるでしょう。小出しに 脅すことができる政治家・教育者・宗教家・言論人のスキャンダルを握っているでしょう。日本を中韓から更に遠ざけ、制裁に屈服しないことによってハジをかかせ、国論を分裂・ガタガタにしようとしているのです。

何故か。彼らがようやく、小泉の真意を知ったのです。「小泉の語る国交正常化は“毛バリ”である」と。
今回のニセ遺骨は金正日の小泉への怒りであると思います。だから(経済制裁という)挑発に乗ることは、彼らの思う壺なのです。 小泉にハジをかかせ、何とか一矢を報いたいのです。
それを最も理解しているのが小泉であり、平然と生ぬるい対応をすることこそ攻めなのです。「対話と圧力」といいます。実は、「対話が圧力」なのです。 なぜなら、時間はこちらの味方であり、金正日にはどん詰まりしかないのです。唯一起死回生の方法こそ、日本に「経済制裁」をやらせ、中国・韓国の民族感情を刺激させ、日本の中の親北朝鮮集団を立ち上がらせる。それしかないところまで、金正日は追い詰められていると思います。一番いいのは放っておくことです。間もなく金正日は崩壊するでしょう。

「経済制裁せよ」との声を、私は悪いことと思いません。それはバックグラウンド・ミュージックとして有効でしょう。しかし、小泉は動かないでしょう。「孤高」。小泉純一郎を、私は凄い政治家と思います。

(以降は「北朝鮮への経済制裁」へ続きます)

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