=教皇ヨハネ・パウロ二世葬儀、日本政府の判断=

添付資料 1
「南仏在住のMさん」よりの反論

 

クライン孝子さんの、「クライン孝子のホームページ」
http://www.takakoklein.de/
には色々と教えて頂いております。特に私の、「小泉再訪朝」
http://www.nomusan.com/~essay/essay_12_koizumihoucyou-2.html
では孝子さんの2005.05.26付け産経新聞「見落とせぬ小泉外交のしたたかさ」に随分教えられました。(許可を得て添付してあります)

先日、私の =教皇ヨハネ・パウロ二世葬儀、日本政府の判断= を紹介して下さるよう、孝子さんにお願いしました。孝子さんは応じて下さり、その翌日、私の論に対する反論が同じく孝子さんのホームページに載りました。以下はその全体を、許可を得て、掲載致します。
 

−−−−−=クライン孝子のホームページ、2005.04.14〜15 より=−−−−−

そこで、久しぶりに野村氏の登場です。

>いつも目を見開かされる情報を、ありがとうございます。今日は、ローマ教皇ヨハネ・パウロ二世葬儀に関することです。
日本政府の代表が川口順子首相補佐官であったということで批判されています。
私もカトリック教徒の端くれとして色々考えてみましたが、日本政府(小泉総理)の判断は適切・妥当なものであったとの結論に達しました。私の方向からの分析は誰もしていないようなので、孝子様がお読み頂いて、多少の価値があると考えて頂けるなら、紹介して下さいませ。
http://www.nomusan.com/~essay/essay_27_J.P.2.html

(↑ややこしいですがこの部分はノムラがクライン孝子さんに出したメールです。)


■2005/04/15 (金) 世界最高位はローマ法王、英国女王、天皇です。
  多大なリスクを背負っても世界の要人は列席したのに
  国際儀礼から日本は外れた?

カトリック教会の本山バチカンで、ローマ法王の葬儀が挙行されたのは、四月八日だった。
世紀の法王の死を悼む葬儀とあって、サミットメンバーでは日本を除く六カ国、宗教関係ではカトリックはむろんプロテスタント、オーソドックス、ロシア正教、ユダヤ教、イスラム教など世界中の主だった宗教関係者や要人が参列している。
しかもカトリック教会の権威=価値は世俗とは別の基準からなるもので、従って世界最強国米国といえど、その価値基準に逆らえない。

当日ブッシュは妻、そしてライス国務長官、元大統領ブッシュの父、前大統領クリントンと共に参列したが、式場におけるボデーガードの同行、警備用のピストル携行は断わられた。
席次も最前列にはイタリア以外の国としてかつて法王を選出したスペインと今回のポーランドに陣取り、二番目の席にイラク戦争で天敵となったフランスのシラク大統領と同席することを強いられた。
にも拘らず、この法王の葬儀にブッシュ大統領は参列した。
一体これは何を意味するのでしょうか。

そんな法王の葬儀をテレビの実況で見た私の気持ちは複雑でした!
なぜかって?
日本のトップ小泉首相の姿がそこになかったからです。
昨日の日記では、そのことに野村氏が触れられ、正当化されました。

ところが南仏在住のMさんから、別の見方によるメールが届きました。
今日はそのメールをご紹介致しますね。

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野村氏の意見は氏がカトリック信者であることから宗教を第一に考えた視点からの意見であること。
そして,クラインさんや私のように欧州在住で教皇の葬儀ミサを生放送で見れない環境にあったこと。

以上を考慮しての私見を述べます。

世界には「国際儀礼」というものがあります。
野村氏は天皇家に関して,高円宮殿下の御葬儀時に天皇皇后両陛下が御欠席されたと指摘していますが,これは慶祝時でも同様で皇太子殿下の宮中三殿の挙式に最高位である両陛下は出席されていないはずです。
私情ではなく「宮中祭事のヒエラルヒー」が存在するからです。

これと同様,あらゆる宗教を抜いて「国際儀礼」の立場から鑑みると,世界における最高位はローマ法王,大英帝國女王,日本國天皇です。

一見,日本から見ると強者に見える合衆国大統領はこの三名の下にあたるヒエラルヒーです。

従って大統領選挙でカトリック票を獲得した云々という複線を抜きにしても合衆国大統領は「目上であるローマ教皇の葬儀」に出席できますが,「同列」のエリザベス女王,天皇陛下は葬儀には出席できません。

そして野村氏は葬儀の席次についてもカトリック信者数によるものと推定されていますが,これははずれていると思います。
私が生放送で拝見した限りですが,最前列にユダヤ教の方々が座り,3列目あたりからイスラム教国の装束をお召しの方々が多く座っていました。
これも国際儀礼に基づいて判断された席次だったように思います。

カトリックの立場として教皇葬儀を見るならば,式最後の棺の祝別でユダヤ教によるもの,続いて正教徒やプロテスタントによるもの,最後にカトリックによる祝別と続いたことはやはり宗教壁の限界にあたる画期的出来事だったと私は思います。

「宗教」を理由にするならばプロテスタントはもちろん,ユダヤ教やイスラム教を信仰する方々は参列を拒否するでしょうし,ましてやカトリックの聖堂内には足を運びません。

葬儀をテレビ生中継で見た多くの人々が驚いたのはサウジアラビアをはじめとするアラビア半島諸国からの参列者もいたことではないでしょうか?
彼らの母国の判断は国際儀礼を基にした対応以外の何ものでもないでしょう。

「日本はキリ国(と最近言うそうです,何のことかと思ったら「キリスト教国」の略語だそうです。)ではないから」「信者数が国民の1%未満だから」という「宗教上の判断」を第一に掲げて議論している限り,日本は世界から取り残されてしまいます。

先進国のうち唯一他とは違った判断を下した日本が今回のことがきっかけとなって北朝鮮や中国と同じカテゴリーに納められ
ても仕様がありません。その証拠に「あの」キューバのカストロ氏は3日間の服喪,首都の大聖堂で行われた追悼ミサ,驚くほど長い弔文を教皇に捧げています。
となると政治信条を第一に挙げることも難しくなります。

日本以外の主要先進国は確かにキリスト教国かもしれませんが,信仰ではなく国際儀礼の立場での「冷静な判断」があのような列席者になっただけです。
つまり日本は国際儀礼「音痴」であることが今回の法王葬儀ミサで世界に知らしめたということではないでしょうか?

こんなことだから天皇陛下を「日王」と呼ばれても怒りもしない日本国民なのでしょう。
Emperer と King は国際儀礼上のヒエラルヒーがまったく異なります。
「王」は「日本國天皇」の下に位置します。

野村氏のHPはカトリックの信仰を最前に置かれたものなのでその見地からすれば氏のおっしゃることも一理あるとは思いますが,残念ながらどこの国も宗教が何であろうと氏がおっしゃる見解でローマ教皇の葬儀に対応していません。

何しろ欧州ではカルトと呼ばわりされている教団をバックボーンにした政党が政権の一端を担っているのが日本國です。そういうことも含めて諸外国が日本國をどう見るのか?

今回の教皇葬儀がアルカイダにとっては最高のテロ現場と発表されていました。
このまことしやかな風評を通して多大なリスクがあったにもかかわらず世界の首脳陣が列席したことに意味があるはずです。
以上です。
つたない文章お許しください。