この旅で食べたもの

今回の旅は、実はあまり食べなかった。私は日本人として少食と思わないが、それにしても外国に出て、出てくる量に驚くのである。韓国も例外でない。結局、朝はパン・ジュース、昼と夜はどちらか一食、これで十分だった。

この三葉は木浦に到着した4月25日の夕方、観光船ターミナル向かいにずらりと並ぶ“刺身街”の一軒で食べたものである。平目一匹分。黒く大きな三角形の貝。あわび。ナマコ。うごめいているイイダコ。マテ貝。ホヤ。えび。

えび以外はすべて刺身である。結局、食いきれなかった。ビールと真露一本込みで W36,000. W40,000.(≒4,000円)を渡すと喜ばれ、忘れた旅行案内の本を追っかけて持ってきて呉れた。

この三葉は“紅島(ホンド)”でのものである。

逃げ回る元気のいいのを生簀から掬い上げ、棍棒でアタマをコツンとやって気絶させ、内臓を抜いて味噌汁にぶっこむ。キムチ類がまた多様で、海藻、貝類、実に旨かったが、紫蘇の葉のようなものが絶品だった。

ビール一本呑んで、W13,000.(≒1,300円)

ここで私に給仕して呉れた男性は(亭主かも知れないが)帰りの乗船場では切符を集めていた。要は島全体が、一軒の店のようなものなのだろう。

左は私の席より外で食事する人たちを写した。

上6葉。ホンオフェ!
小泉武夫先生の『食あれば楽あり』に引用されている文章によれば、
“口に入れかんだ途端、アンモニア臭は鼻の奥を秒速で通り抜け、脳天に達す。この時深呼吸すれば、百人中九十八人は気絶、二人は死亡寸前になる。”

それを探し探して、ついに食った。予断が凄かったので気絶はしなかったけれど、確かに刺激臭は強かった。しかし不快なものではなかった。胃袋が完全消毒される感じがした。

ホンオフェそのものは、私は塩辛状のものを予想していたのであるがきちんとした刺身で、肉はほんのりと赤みを帯び、若い女性のようにきれいなものであった。横にぼんと、壺に入ったものがおかれ、これを呑みながら食えと指示された。あきらかにドブロクで、度は強くなかったが生酒であり、炭酸が心地よく舌を刺激し、ホンオフェとハモった。旨かったが、ここでも結局、食いきれなかった。下段左が最終の図である。

左。釜山4月29日夜。
ホテル近くの“日式”レストランで、このうどんを二杯食った。油揚げ、タマゴ、天カス、ねぎ、ワカメがたっぷり入っている。麺も十分にコシがある。うどん二杯に缶ビールをつけて W9,700.(≒1,000円)

 

 

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